さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「お母さんの体調はどんな感じ?」

「熱があるみたいです」

「そっか。病院とか行ったかは分からないわよね?」

 あたしは頷いた。

「一日か二日残るわ。わたしも家の郵便とかチェックしたいし」

「ありがとうございます」

「気にしなくていいわよ。たいしたことじゃないし」

 彼女はあかりのついていないあたしの家を見る。

「話はまとまると思う? あなたのお母さんって結構気が強いみたいだから」

 彼女はあたしの母親に会ったことがある。

「いじっぱりですよね。どの程度監督が折れるか次第だと思いますけど」

「あなたは眠っておきなさい。さすがに徹夜はきついでしょう?」

「でも」

「大丈夫よ。きっと上手くいくから」

 彼女は微笑む。

 さっき泣いているのを見られたからだろうか。

 彼女に歯向かう気にはなれなかった。

 あたしは二人の話し合いがよくなればいいと思って、車の後部座席に移ると、そのまま目を閉じた。
< 527 / 577 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop