さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「でも、お兄ちゃんと一緒にいたくて、普通の幸せがほしくて辞めたんでしょう? 

それならそのことを兄にもっと訴えるべきだよ。あなたのせいで辞めることになったんだから責任とってとか言ってさ」

「そんなことはいえないから」

「埒があかないよな。二人ともいい子すぎるんだよね」

 千春はあたしの手をつかんだ。

 そのままあたしの体を引っ張っていく。

「おばさん、京香を借りていい?」

「いいけど、ご飯は?」

 台所には朝から母親が気合を入れていった料理の数々が並んでいた。

「今日の夜にきっとそれを全部平らげてくれそうな人が来てくれますから」

 母親は小さな声を上げる。

「そうなの?」

「だから邪魔者は退散しないとね」

 彼女は唖然とした母親をよそ目にそのまま外に出た。

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