さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 でも、ずっと彼女に頼りすぎてきたから、これ以上頼り続けたらだめだと思ったのだ。

 千春もあたしの意図を汲み取ったのだろう。

 優しく微笑む。

「分かった」

 あたしは部屋の番号を聞く。彼女はオートロックの番号も教えてくれた。

 入り口でぐだぐだやっていて、誰かに見られたら困るからという理由だった。

 エレベーターに乗り込む。

 まず、何を言えばいいのだろう。

 一つずつ、時間はかかるかもしれないけれど、ゆっくりと話そう。

 あたしの気持ちを。

 もしかしたら彼は受け入れてくれないかもしれない。

 それを分かっていても、全てを理解してほしかったのだ。

 あたしは表札のない部屋の前に立つ。

 その部屋番号を何度も確認した。

 ドアの向こうに彼がいる。

 そう思うと、不思議でたまらなかった。
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