さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 受け入れてくれなかったら二度と会うこともないだろう。

 あたしは唇を噛み締めると、右手の人差し指でインターフォンを鳴らす。

 すぐに扉が開いた。そして、尚志さんが出てきた。

 彼はあたしが何かを言うよりも早く口を開いた。

「入っていいよ」

 あたしは意外な反応にただ戸惑っていた。




 あたしは中に入ると、鍵を閉めた。

 尚志さんはあたしが不思議に思っているのを感じ取ったのだろう。

 天を仰ぐと肩をすくめた。

「千春から電話がかかってきたからさ」

「いつ?」

「今、話をちゃんと聞いてねってさ。あと、家の前でぐだぐだされると困るからとりあえず家に上げてねって」

 千春らしいと言えば千春らしいだろう。

 あたしは彼の姿を見据える。

 きちんと言わないといけない。自分にそう言い聞かせた。

「あたしは」

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