さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「俺は別に何書かれても平気だから。それに、まず辞めた君に執着する人もいないと思うよ。

そのまま続けるならそうだったけど。辞めた君をどれだけ責めても、叩いてもお金にならないし」

「そんなもの?」

「そんなものだよ。それにさ、君が叩かれたら俺が全力で護るから」

「本当に?」

 彼の手があたしの頬に再び触れた。

「本当に。もっと怖そうな人もいるけどね」

 尚志さんは苦笑いを浮かべていた。その怖そうな人が誰を指しているのか誰か分からなかった。

 可能性としては千春か、あたしの父親なのだろう。そう思っていたのだ。

 でも、その中には杉田さんと、意外にも木下さんまで入っていたことを後から聞いた。

「千春を呼ぶか。このままだと何をぐだぐだやっているんだって怒鳴られそうだし」

 尚志さんは苦笑いを浮かべる。

 あたしも彼の言葉に頷いていた。

「そういえば、来年、君の母親が実家に帰るって聞いたけど」
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