さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「しばらくは一人暮らしかな。千春は家に住めって言っていたけど、それは悪い気がするし」

「でも、再来年、映画公開するなら、大学とか行ったら目立たない?」

「大丈夫なんじゃない? と千春は言っていたけど」

「もしよかったら一緒に暮らさない?」

 あたしはその言葉を聞いて、その場に固まった。

「どうして? 話が飛躍しているような」

「君って贅沢しなさそうだし、君一人なら面倒見られるよ。もちろん引越しはしないといけないだろうけどね。

ただの同居人として一緒に暮らしてくれていいし、君が出て行きたいなら出て行ってもいい。もし、君が嫌でないならだけどさ」

 答えは決まっていた。迷うわけもなかった。

 あたしのそんな迷いを分かっていてくれるならあたしはそれを望むだろう。

 あたしは顔を綻ばせる。

「でも、あたしに有利すぎるよね。条件的に」

「数年間の罪滅ぼしだよ」

 彼はそう言うと、苦笑いを浮かべていた。

 そして、彼の手をつかんだ。

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