さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 帰宅後、あたしはその話を母親にした。

 今までどの程度彼女を掻き乱し、迷惑をかけてきたかそのことも分かっていた。

 でも、お母さんは目を細めると、微笑んだ。

「反対はしない。あなたの人生だもの。自分で決めなさい」

 彼女は思いだしたように語りだす。

「でも、親として、延々と同棲を続けるのはやめてね。

しばらくは身動きもとりづらいかもしれないけど、二年以内にきちんと決着を着けること。

きちんと互いに責任を取れるような行動を取ること。これが条件よ」

「分かった」

 彼女らしい条件だとは思った。

「でも、父親には」

「わたしから言っておくわ。今まで育ててきたのはわたしなんだから文句は言わせない」

 なんとなく、母親に丸め込まれている父親の姿が思い浮かんだ。

 それもそれで悪くないのかもしれない。
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