さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「この前、杉田さんの載っている雑誌を買っちゃった」

 あたしは手元にある雑誌をぱらぱらと捲る。

「そんなもの見ても楽しくないだろう?」

「俳優としての杉田さんが見れるから楽しいよ。あと写真も。普段絶対こんな顔しないよね」

 あたしはそう言ってその雑誌に目を落とす。

 笑みを浮かべず、鋭い眼差しを浮かべている彼の姿がそこにはあった。

 それは彼が次に出る映画の宣伝のための記事だ。

 こうしてみてもやっぱり彼はかっこいいと思う。

 人気が出てもおかしくない。

 あたしの行動は彼のファンそのものだった。

 そうした意味では尚志さんも開き直っているみたいだった。

「そろそろ行かないと」

「ごめんね。じゃあね」

 あたしは電話を切った。

 木下さんはどうしているかと言うと、杉田さんの仕事の手伝いをしていると千春から聞いた。


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