さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「この前、転校してきたの。家庭の事情ってやつ?」


 あたしはそれ以上聞けなかった。家庭の事情などと言われたら、皆そうだろう。


「ま、いいわ。今日一緒に帰りましょう」


 何となく、あたしに選択の余地のない、断定された言い方のような気がしないでもなくない。


「いいですよ」


 あたしはとりあえず、敬語で話をする。


「じゃ、あたしは成宮千春」


「あたしは平井京香」


 成宮千春はじゃあね、というと、あたしに背を向けて歩いていった。
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