さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 ホームルームの終了を告げるチャイムが鳴った。あの子と一緒に帰る約束をしたものの、待ち合わせの場所を決めていなかった。


 オーディションで出会った千春という少女のことだ。


 あたしは彼女の名前しか知らないし、彼女もそうだろう。彼女があたしのクラスを知っているとは思えなかった。


「真田さん」


 私は隣の席の女の子を呼んだ。


 彼女は帰り支度を止めて、あたしを見た。


 彼女の髪の毛は茶色く染められていて、肩の下まで伸ばしていた。


 きりりとした印象を受ける、綺麗めの女の子だ。


 クラスに一人はいる、交友が広く、誰とでも仲良くできるタイプの子だった。


 顔が広いので、彼女なら知っているかもしれないと思ったからだ。


「何?」


 彼女は突然呼び止めた私に嫌な顔をせずに、微笑んだ。


 こういうところが、彼女が誰にでも好かれる理由だと思う。


「成宮千春って子知っている?」
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