さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 でも大学生だった彼女が妊娠したと分かったとき、それも父親が誰だか母親しか分からない子供を身ごもったときはあたしの祖父母は産むのをやめさせようとしたのかもしれない。

 それはあたしが祖父母の立場だったら、実際にさせるかは分からないけれど、やっぱりそのことが頭を過ぎるからだ。

 あたしの祖父母はあたしに甘かった。それはその分の負い目があるからからなにかもしれない。

 でもそのことでとやかく思ったことはなかった。

 負い目を感じてくれているということは少なくとも今のあたしを少しだけでも大切に思ってくれているからかもしれないと思っていたからだ。

 そして、そんなあたしを全力で守ってくれたのは母親だっただろうからだ。

 彼女があたしの母親でなかったら、あたしはこの世にいなかったのかもしれない。
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