さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしたちは二階に行くと、辺りを見渡した。部屋がいくつかあるが明かりがほとんどついていない。

「ここって他に誰か借りていたりとかしないんですか?」

「しないよ。でも掃除は行き届いているだろう?」

「そうですね」

 古ぼけたわりには綺麗な廊下が広がっている。しかし、使う人が尚志さんたちしかいないならある意味当然なのかもしれない。

「伯父は掃除が趣味みたいなものだから」

「伯父さんが掃除しているの?」

「持ち主だから愛着があるみたいだよ」

「誰の?」

「多分伯父のじゃないかな。よく分からないけど、父親が土地を持っていてビルを建てたとかなんとか」

「持ちビル?」

「まあ、そうだろうな。でも昔から持っていた土地らしいし」

 言っている意味は分かるが、実は彼らの家はものすごい金持ちなのだろうか。
< 82 / 577 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop