皮肉と剣と、そして俺Ⅱ
そこまで考えた時、角質なドアの鳴る音が響いた。
直後「入るぞ」という低い声も聞こえ、エイダは肩を揺らした。
父が来たのだ。
エイダは慌てて立ち上がり身衣を整えた。
ドアがゆっくりと開き、落ち着いた足取りの父が顔を出す。
無言で礼をしてから顔を上げると目線で座れと促された。
先程まで座っていたソファに腰を降ろすと、まだ温もりが残っていて気持ちが悪い。
エイダは気持ち悪さを吹き飛ばすように持っていた赤と緑の包みをテーブルの上に滑らした。
父は初め驚愕の表情を見せたが、次の瞬間にはいつもの無表情に戻っていた。
「なんだ?これは」
怪訝そうな顔で言う。
「開けてみてもらえますか」
さらにテーブルの上で滑らせ父に開けるよう促すと、興味があるのか、はたまた言われたからなのか無骨な手でゆっくりと包みを解き始めた。
慣れていないのか、手つきは幾らか自信なさげである。