皮肉と剣と、そして俺Ⅱ


包みを解いた父は中の物をみて、今度こそはっきりと驚愕の表情を見せた。

視線をシュークリームに固定したまま微動だにしない。


「…今日は父様の誕生日でしょう?」


エイダが静かに問うと「そうだったな」と、戸惑ったような父の声が耳に流れ込んできた。


「そして、母の命日でもあります」


父の言葉に続ける形でエイダは紡ぐ。

どう伝えれば良いのか皆目検討もつかない。
思ったことをひたすら言葉にして連ねるしかないのだ。


「母が死んで、今日でちょうど三年です。
その間、私と父様は会話を交わす機会があまりにも少ない。
…もう、やめにしませんか?」


父の片眉がぴくりと動いた。
それが咎められているように錯覚してしまう。


怯むな。


何度も反芻して、言い聞かせる。


「私は、昔のように父様と話したい」



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