皮肉と剣と、そして俺Ⅱ
「…で、なんで親父さんにプレゼント?」
ごく普通の質問なはずだが、言った瞬間、エイダが止まった。
普段ここまで狼狽えることが無いだけに、この光景はおかしい。
いや、変という意味でも十分おかしいのだが、ナオトには別の意味でおかしい。
見慣れない光景に、ナオトは口元が緩むのを止めることが出来ない。
「なんで、プレゼント?」
それでもしつこく訊くのがナオトなのだが。
一時は口を噤んでいたエイダだったが、ナオトのニヤニヤと形容するに相応しい笑みを見ると、観念したようにぽつぽつと話しだした。
「煩いんだ」
初めに紡がれた言葉がこれなのだが、何の事かさっぱり分からない。
ナオトが目線で先を促すとエイダはひとつ溜め息を零した。
「父が誕生日プレゼントをくれと煩いんだ。
絶対やらないと言ったんだが、聞かなくて。
それで…」
大体は分かった。
要はナオトに父親のプレゼントを見立てて欲しいということだろう。
あらかたは理解したのだが、そこはひねくれ者のナオトだ。
決して自分からは見立ててやるとは言わない。