皮肉と剣と、そして俺Ⅱ
ずらりと並んだ墓石の一番端に母の墓はあった。
並んだ墓石と何ら違いがないのに、エイダにははっきりと分かる。
どうしてか、墓石から母の面影を見るのだ。
エイダは墓石の目の前に立つ。
形あるものは何も持ってきていないから、母に渡せるものは無いが、それでも母は喜んでくれるだろう。
おそらく今までで一番のプレゼントを母は受け取るであろう。
「ここ、見て下さい」
エイダが指差す先は墓石の下の部分。
雪に埋もれてただ白いその場所。
「この雪の下に、父様が求める答えがあります」
「俺が?」
目を瞬いて疑問を口にしつつも手は雪を掻き分けていて、父の手は雪の下の淡い黄色の墓石を露わにしていく。
そしてはっきりと墓石が見えた瞬間、父の手が止まった。