皮肉と剣と、そして俺Ⅱ








「それだけで良いのか」


ナオトがソファに座ってから幾分か経たないうちにエイダが訊いてきた。

ナオトは爆発しそうになる感情を押さえ込み、咳払いを一つしてから話し出した。


「いいよ、もう」


少し乱暴な言い方になってしまうのは仕方がない。

本当なら自分からキスしてやろうと思ったが、それはナオトのプライドに反していた。
だからわざわざ考える猶予を作ったというのに。

あそこまで困った顔をされたら堪らない。

自分の浅はかさを呪った。


「何故怒っている?」


次いで放たれる言葉。

それもこれも全てエイダのせいだというのに、どこまで鈍感なのだろう。

ここまで幼稚な自分がひどく恥ずかしくてナオトは自嘲した。



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