皮肉と剣と、そして俺Ⅱ
掴まれた腕に痛みを感じたのだろう。エイダが眉根を寄せた。
けれどナオトは関係ないとばかりに言葉を紡ぐ。
「友情」
「は?」
突然脈絡のないことを言い始めたナオトに、エイダは素直に疑問符を浮かべた。
「額のキスの意味は、友情」
軍人なのに華奢なエイダの腕を掴む手に力が入りすぎないように注意しながら話す。
はっきりと好きだと言ってしまえば楽なのに、その一言が言えない己を恨む。
キスしてとは言えるのに、どうして好きだとは言えないのか?
言いながらぼんやりと考える。
回りくどい言い方しか出来ない自分を恨みながら、けれど直接は言おうとしない自分を笑う。
そのナオトの行動故に、エイダを困らせているのだが。
「エイダは俺のこと友達だと思ってんの?」