皮肉と剣と、そして俺Ⅱ
ナオトはエイダの耳元に唇を寄せ、呟いた。
「好きだよ」
ありきたりな台詞しか出てこないけれど、それでもナオトの想いは伝わっただろう。
エイダが腕の中で身じろぎした。
言いたかった言葉がやっと言えたことに対しての安堵と、これから返されるであろうエイダの答えに緊張しながら、ナオトはより強くエイダを掻き抱いた。
こうしていると自分だけが溢れそうなエイダの気持ちを抱えているようで、悔しい。
ただ事実なだけにナオトは苦笑を漏らすしかないが。
突然、身じろぎしたエイダが距離を離して見つめてくる。
間近で見る顔は何かを決心したような趣があった。