皮肉と剣と、そして俺Ⅱ


そんなやり取りをしながら廊下の角を曲がると、目の前に人影が映った。


「父様!」


刹那声をあげたねはエイダで、それに気付いたのか、人影が顔を上げた。


「エイダか。昨日はすまなかったな」

「いえ、いいんです…」



二人の会話を尻目に、ナオトは静かにその場を離れた。


エイダは言葉を考えあぐねているようで、俯いているが、対する父であるジャン将軍の方は強い眼差しでエイダを見ている。


「今さっき、ダニエルと話してきたんだ」

「兄さんと?」

「ああ。許してもらえるとは思ってなかったんだがな。ダニエルは笑って許してくれたよ。
だから、エイダには感謝している」


真っ直ぐエイダの視線を捉えてジャン将軍は笑った。

それはエイダを心から愛しむ笑顔で、その想いはしっかりとエイダの胸に届いた。




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