皮肉と剣と、そして俺Ⅱ
「これをプレゼントにするのはどうだろうか?」
瞳に星を浮かべる勢いではしゃいでいるエイダ。
もう直ぐ二十四歳になるいい大人が、趣味の悪いマフラーを持って嬉しそうにしている姿は、なかなか見れない貴重な瞬間だ。
故にナオトにとっては新鮮で、微笑ましい光景であった。
だがしかし。
この趣味の悪いマフラーをプレゼントするというのはいただけない。
贈っても、相手に迷惑がかかるのがオチである。
「なぁ!どうだろうか」
「うん、やめておこうか。貰っても多分使ってくれないと思う」
言うと一瞬顔をしかめたエイダは、名残惜しそうにマフラーを手放した。
軍上層部でも優秀と評判のエイダだが、センスに関しては誉められたものではないことが判明したのだった。