皮肉と剣と、そして俺Ⅱ


マフラーを思考から抹消したナオトと、未だ名残惜しそうにマフラーを見つめ続けているエイダは、次に何でも屋という店に入った。

店の名前はもちろん違うが、品揃えがとても良くその割に安いと評判で、そのため巷では何でも屋と呼ばれ慣れ親しまれている店であった。


店内に足を踏み入れると、まず鼻をくすぐったのは甘い香りだった。

視線だけで周りを探ると、ちょうど突き当たりに色鮮やかな花が束で売られていて、視線を右に逸らすとまだ湯気が立ち込めていそうなクッキーやらケーキやらの洋菓子が並んでいた。


どうやらそれらの匂いが混ざり合って甘い香りを作り上げているようだった。


ナオトはこの店に何でも屋というよりかは、ただ単にあらゆる物を並べただけでは。

という疑問を抱いたが、そこは見なかった振りをしようと心掛けた。




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