ビターチョコレート
「ひっ……。」
どれくらいたっただろう。
あたしは一向に泣き止まない。
すると遠くの方から誰かの足音が聞こえきた。
だんだん近づいてくる。
あたしのすぐ近くで足音が止むと、あたしは座り込んだまま音のしなくなった方へ顔を向けた。
するとそこには麻梨立っていた。
「ちょっ…!瑠美っ!?!?どうしたの!?!?」
あたしの顔を見るなりそう言って麻梨はしゃがみ込んだ。
「まっ…麻梨ぃ〜……。」
麻梨の顔を見た瞬間、安心したのか余計に涙が出てきた。
「しゅっ……俊ちゃんがっ……ひっ…あっ……あたしの事ぉ……ひっ…。」
嗚咽混じりで途切れ途切れになるあたしの言葉を麻梨は「うん、うん。」って聞いてくれている。
「しっ…知らんって……ひっ…おっ……覚えてないっ……うぅ〜………。」
「わかった。わかったからもういいよ…。」
麻梨はそう言ってあたしをギュっと抱きしめてくれた。
「うわあぁぁぁぁぁぁーーー………。」
その瞬間、あたしの中の何かがぷつっと音を立てて切れあたしは声を上げて泣いた。