MAΖE〜メイズ〜
きっと諒も辛いに違いない。
そう思って,諒の方を振り向くと
(え…)
諒は制服に着替えネクタイを結んでいた。
「どこ…行くんですか?」
「どこって…学校だよ。誰も親父が俺の父親だなんて知らないし,休んだりしたら返って怪しいだろ。部屋には中から鍵をしとけば誰も入ってこないし,食べ物は冷蔵庫の中のものを適当に食べていいから。夕方には帰ってくるから大人しくしてな」
まるで感情のこもっていない言葉。
諒はそのまま部屋を出て行ってしまった。
きっとあたしを恨んでるんだ…
あたしと関わったばかりにおじさんは罪を被せられ,殺されてしまった。
あたしなんかのために…
「うっ…ひっく…」
ごめんなさい
ごめんなさい
あたしは涙拭い,諒の部屋をあとにした。