MAΖE〜メイズ〜
あたしはフラフラと知らない街をさ迷った。
お金も持っていないあたしは電車やバスにも乗れないため,自分の街へ帰ることもできなかった。
それにニュースであたしの顔写真が出てしまったため,堂々と人混みの中を歩くわけにはいかなかったのだ。
行き場のないあたしは,小さな公園のトンネルの中に身を寄せた。
トンネルの中でうずくまりながら,あたしはいろんなことを考えた。
もし,あたしが今…交番に駆け込んだらどうなるだろう?
おじさんの無実をみんな,信じてくれるだろうか?
そして紫藤は捕まるだろうか?
いや,警察に捕まるくらいじゃ許せない…
アイツのせいでお母さんやおじさんは…
「殺したい…」
あたしは拳をギュッと握りしめた。
殺したい
殺したい
紫藤をこの手で殺したい