□■1曲のラブソング■□




『…言い忘れていたが…----』




『ぇっ!?』




彼女の上目遣いについ見とれてしまった南斗は変に裏返った声を出してしまった。



やべっ…

声裏返った…だせぇ。



赤面する南斗。




が、次の瞬間、亜子が『プっ…』と小さな笑いを見せた。




口角が少し上がって、長いまつげを伏せるように目は細くなった。


南斗は一瞬、いや、2・3秒は見とれていた。



…か、かわいい…




この世のものじゃないみたいだった。



この世のものであったとしても、綺麗によくできた人形なんかよりもずっと可愛い。





それから亜子は笑うのを一回止め、ぎこちなくはにかむように微笑んで、


『……ありがとう。』




『…っ!??』




心臓が破裂してしまうかと思った。




南斗がなかなか反応できずにいると、亜子は言い直した。


『…た、助けてくれて、ありがとう…』



このぎこちなさが、また南斗をくすぐった。





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