□■1曲のラブソング■□
南斗、赤面しながらも、
『ぁっ、うん。その、ど、どういたしましてっ…』
どうしたんだよ俺っ!
なんで俺がこんな男らしくもない…!
ちくしょう、俺なんでこんな時に限ってダサぃんだ…
彼女がタクシーに乗り込み、大通りの方へ行ってしまった後、
南斗は部屋に戻り、窓辺でたそがれて(?)いた。
『やべぇ…まじで可愛かった……』
ベッドの上で膝を抱え込む。
『…板倉 亜子…。』
名前を呟いてみると、彼女の甘い香りや、白い肌、形の良い唇からのぞく歯並び、長いまつげ、すべてが頭の中によみがえった。
彼女のあの笑顔も。
南斗はそんな彼女の一面それぞれに胸の奥をグっと掴まれたように、苦しくなった。
窓から夜の空を見上げる。
月も星も出ていなくて曇っていたが、なんだかその時は綺麗に見えた。