□■1曲のラブソング■□




亜子は『ぁっ、こいつ昨日の…』みたいな目で見てきた。




『板倉亜子…ちゃん、と話がしたいんだけど。いぃ?』





南斗は一度下を向いて、また亜子と目を合わせた。




全員が今度は亜子のことを見る。




『亜子ちゃぁん!!もしかして、ついに彼氏!!?』



『ちょっと亜子!超イケメンじゃん!』



『ぬけがけしたなっ、良い男見つけちゃって』






みんな口々に同じようなことを同時に亜子に向かって話す。





亜子は一瞬南斗のことをキッと睨んで、大声で言った。





『ちっがぁーう!!!!!!!!』






教室全体が静まり返り、声の主に注目した。






亜子は少し顔をピンク色にして、椅子にかけてあった鞄を掴み、




『ったく…何を考えてるんだこんなとこまで来て…』



そう言い残して、足早に教室を去っていった。






< 14 / 17 >

この作品をシェア

pagetop