□■1曲のラブソング■□
亜子は『ぁっ、こいつ昨日の…』みたいな目で見てきた。
『板倉亜子…ちゃん、と話がしたいんだけど。いぃ?』
南斗は一度下を向いて、また亜子と目を合わせた。
全員が今度は亜子のことを見る。
『亜子ちゃぁん!!もしかして、ついに彼氏!!?』
『ちょっと亜子!超イケメンじゃん!』
『ぬけがけしたなっ、良い男見つけちゃって』
みんな口々に同じようなことを同時に亜子に向かって話す。
亜子は一瞬南斗のことをキッと睨んで、大声で言った。
『ちっがぁーう!!!!!!!!』
教室全体が静まり返り、声の主に注目した。
亜子は少し顔をピンク色にして、椅子にかけてあった鞄を掴み、
『ったく…何を考えてるんだこんなとこまで来て…』
そう言い残して、足早に教室を去っていった。