□■1曲のラブソング■□




教室がまたざわざわし始めた。




南斗は後頭部らへんをポリっと掻いて、彼女の出て行ったドアを見つめてキョトンとしていた。




『なんかいけないことしたのか…俺。』





すると、横から女子が一斉にわぁっと群がってきた。




『ねぇっ!!アナタ何部の子??あんまし見ないけど…カッコイイじゃん!』



『ぁ、名前なんて言うのー?』



『あたし知ってるー♪同じ1年の法学部のイケメンスターで有名だょ!!

藤田南斗くんっていうんだょねぇ?

女子の追っかけとかまじヤバいんだって!』




『へーぇ♪まぁ、イケメンだしねぇ確かにっ。

ねぇねぇ、彼女いる?』


『だめっ、ウチが最初に口説こうとしたのに!』



『ぇー?でも、藤田くん亜子のことが好きなんでしょぉ?』







なんて一度にたくさんの質問をされてちょっとたじたじ…



いつも追っかけてくる数十人の女子にも、ここまで積極的に話しかけてくるやつはいない。


かたまりになって、南斗の後ろを付いてくるだけだ。



手には色々、『南斗っちラビュ』やら、『藤田南斗担当!』やらが書いてあるうちわやもろもろを持って、

わらわらキャァキャァ言いながら付いてくる。



こんな質問攻めにはあまり慣れていない南斗だった。



俺は聖徳太子じゃないんだぞ…




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