□■1曲のラブソング■□
バターン!!
『ど、どどどうしたの、亜子ちゃん』
南斗は彼女の下の名前を呼んで、自分でドキっとした。
が、鋭い口調で返される。
『気安く名前で呼ぶな。』
南斗の口が尖る。
『で、どーしたのっ。』
亜子は少しの躊躇もなく、堂々とそれに答えた。
『帰りの道がわからない。
ここはいったいどこだ?』
ぁ、やっぱり…?
南斗はとりあえず『送っていくから住所教えて』と言ったのだがあっさり、
『同じことを言わせるな』と返されてしまった。
だから、結局、
タクシーをわざわざ一台呼ぶことになった。
15分後くらいにタクシーがやって来た。
亜子は乗り込む前に、南斗のことを見上げて言った。