天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「…まずは、パーツの差。腕や足は攻撃に向いている。だけど、それは性能差とは関係ない。もっとも違いがあるとすれば…宿主の精神力の差」

麗華は、胸のオウパーツを見つめた。

「振動波の波長は、変えられる。しかし、それができたのはジェースのみってことね」

麗華の言葉を、玲奈が続けた。

「ええ…そうよ」

麗華は頷いた。

「波動を変えれるだと!?」

驚くソリッド。

「…」

麗華は、玲奈を見つめたまま、彼女から胸のオウパーツを取ると、それをソリッドに投げた。

「波動そのものを変えるのは難しいけど…2つのオウパーツの発動のタイミングを変えれば、波動は混ざり合う。そうなれば、簡単には共鳴できない」

「つまり、俺に二つ目のオウパーツをくれる訳だな」

ソリッドはにやりと笑うと、

「返してくれと言ったところで、もう遅いぜ」

一瞬で胸のオウパーツを身につけた。

「フン!勘違いするな。すべてのオウパーツは、王のものよ」

「そうだったな」

ソリッドは肩をすくめると、2人に背を向けて歩き出した。

「ソリッド。どこにいくの」

玲奈がソリッドの背中に声をかけたが、彼は足を止めなかった。

「フン」

麗華は、逆の方向に歩き出した。

「麗華!」

玲奈は、ソリッドから視線を変えた。

「あの2人には、オウパーツの宿主の資格がない。せめて、ジェースと相討ちくらいになってくれたらいいわ」

「麗華…」

悲しげな表情を浮かべる玲奈に、

「あなたはどうかしら?」

足を止めると振り向くことなく、訊いた。

「オウパーツの声に、従っているの?」

「あ、あたしは…」

突然の質問に、少し口ごもってしまう玲奈。

「まあ〜いいわ」

麗華は、歩き出した。

「あなたは、他の2人のように勝手な行動はしないから」

「…」

玲奈は口をつむんだ。

ソリッドの方にも、麗華の方にも行けずに、その場で立ちすくんでしまった。

「ジェース」

そして、無意識に彼の名を口にしていた。
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