天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「闇の女神だと!?」

目を見開く九鬼をせせら笑うと、アマテラスは九鬼に再び蹴りを仕掛けた。

「そうよ」

筋肉の動きで、蹴りを読んだ九鬼が防御の為に腕を出した。

しかし、防御した腕をすり抜けた足は、九鬼の首筋にヒットした。

「ど、どうして…」

防御した腕はすり抜けたのに、首には当たった。

どういうからくりがあるのか…九鬼には理解できなかった。

ふっ飛んだ九鬼が、再びグラウンドを転がった。

「ほお〜」

それを見て、アマテラスは感心した。

「首をふっ飛ばすはずだったが…当たる瞬間、自分から飛んだのか…。それに」

転がっていた九鬼が、何とか止まり、立ち上がろうとするのを見て、

「普通の人間よりは、頑丈のようだな。デスパラード」

腕を組んだ。

「あ、あたしは…」

今度は、膝をつくことなく、立ち上がった九鬼はアマテラスを睨んだ。

「デスパラードではない!」

あまりの剣幕に、アマテラスは肩をすくめて笑った。

「確かに、お前は完全な女神ではない。魂と肉体は、わけられた。そして、単なる肉体であったはずのお前が…いつのまにか、自我を持ち…肉体も普通の人間と変わらなくなった…はずだが…」

アマテラスは、九鬼を見つめ、

「人間よりは、少しは上」

九鬼の能力を探り、

「そうね」

ため息をつき、

「女神とは…言い過ぎたわ」

九鬼に近づくと、顔を近づけ、

「単なる虫けら。人間という虫けらよ」

楽しそうに、そう言った。

「な、舐めるなあ!」

九鬼が叫ぶと、先程の蹴りで乙女ケースに戻っていた眼鏡が飛んできて、勝手にかかると…乙女シルバーへと変身させた。

「人間は、虫けらではない」

怒りから、乙女シルバーの全身が輝き、ムーンエナジーを纏った拳が…アッパーカットのように、アマテラスの顎を突き上げた。

「え!?」

「こ、小娘が」

アッパーカットは、顎を上げただけで、大したダメージを与えることはできなかったが、

初めて拳が当たったことに、九鬼は驚いていた。
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