天空のエトランゼ〜赤の王編〜
着地と同時に、足を挫く者がほとんどだった。

歩こうとして転けると、受け身を取らずに、地面に激突した。そして、腕だけで這いながら、僕に向かってくる。

「こいつら!受け身をまったく取らない!防衛本能が働いていない!」

アルテミアは舌打ちすると、全裸の男女から逃げるだけの僕に叫んだ。

「こいつらが、人間かはわからないが!お前にやらせるわけにはいかない!」

「アルテミア!?」

突然、僕の左手についた指輪が輝いた。

「赤星!」

「わ、わかったよ」

いつのまにか百人以上に、僕は囲まれていた。

「モード・チェンジ!」

指輪を突きだすと、そこから光が溢れ出した。

「!?」

眩しさからか…全裸の男女の動きが、初めて止まった。

「ビィーナス!光臨!」

指輪の光を切り裂いて、アルテミアが現れた。そして、周りにガンを飛ばしながら、

「モード・チェンジ!」

アルテミアの姿が変わった。

黒のボンテージ姿に、短髪の姿に。

「フン!」

アルテミアの蹴りが、前にした全裸の男をふっ飛ばした。その男の勢いで、後ろにいた男女も吹っ飛ぶ。

「赤星!」

アルテミアは、全裸の男女を殴りながら、僕に言った。

「お前が、あたしをライと戦わせたくないように!あたしは、お前を人間と戦わせたくない!」

アルテミアの拳が、全裸の男の顔面にヒットした。

「例え…人間もどきでもな」

アルテミアのパンチをくらい、頭の後ろから血を噴き出した男が倒れると同時に、今までアルテミアに襲いかかっていた男女が、攻撃目標を変えた。

血の匂いに誘われるように、倒れた男に食らいついたのだ。

「な!」

僕はピアスの中から、絶句した。

「た、食べてる」

「共食いか」

アルテミアは顔をしかめると、右手を空に突きだした。

「やはり…こいつらは、人間ではない」

すると、回転する二つの物体が飛んできて…アルテミアが掴むと、巨大な槍になった。

「フン!」

そして、槍を一振りすると、男の体を喰らう男女を蹴散らした。
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