天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「あれは…人間なのか?」

雲の上から、人間もどき達が大量に発生している海域を見つめ、ギラは眉を寄せた。

「フン」

その隣に浮かぶサラは、鼻を鳴らした。

「あのような醜い生物は、この世界に似合わん。人間よりも、醜い」

ギラの言葉に、サラは下界を見下ろしながら、

「王が決めたことだ」

それだけ言うと、一瞬で今いた空域からいなくなった。

「…」

いつもなら、すぐに後を追うギラは…横目でサラがいた空域を見つめ、ため息をついた。

「…仕方があるまい。我々は、王によって造られた。しかし…」

ギラは目を細めると、

「それ以外に、意味はない」

ぽつりと呟き、しばらく空中で腕を組み、目を瞑った。




「はあああ!」

アルテミアは気合いとともに、ライトニングソードを振るった。

島のあちこちに雷鳴が轟き、人間もどき達を灰にする。

「こ、こいつら!」

フラッシュモードでの高速移動で斬り裂いているのに、人間もどきの数が減るのが遅い。

「増える速さが半端でない!」

僕は、舌打ちした。

一度に産める数は、分裂して5人のようだが…次のスパンが速すぎた。

数分後には、また子供を産めるようであった。

「うん?」

アルテミアが戦っている間、僕は、ずっと回りを観察していた。

女もどきは子供を産むと、数分後に男もどきと再び絡み…子供を産んだ。

「うん?」

その時、微妙であるが…僕はある変化に気付いた。

あまり見たくないものだけど、目をそらしてる場合でもなかった。

子供を産み落とすスピードが、遅くなっている気がしていた。

さらに、虚ろな表情の女の顔に、微かに苦痛が浮かんでいた。

(やはり…子供を産むということは、体に負担が大きいんだ。そう何度も…)

僕が回りを見回している間に、アルテミアはアルテミアで違う方法を取っていた。

「しゃらくさい!」

男女の人間もどきのうち、女だけに狙いをつけていた。

「これ以上!増やさせるか!」

雷鳴の刃が、人間もどきの女を切り裂いていく。
< 1,103 / 1,188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop