天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「旧タイプの人間はもう!いらないのよ!」

女の爪が伸び、アルテミアを串刺しにしょうとするが、回転したトンファーが、女の爪を下から打ち上げた。

思わず、天に突き上がった腕の先にある爪は、すべて折れていた。

「何!?」

絶句する女の懐に飛び込んだアルテミアは、もう片方のトンファーを女のボディに叩き込もうとした。

「ヒィ!」

軽く悲鳴を上げた女とアルテミアの間に、強引に誰かが割って入った。

「!?」

驚くアルテミアがトンファーを完全に振り切る前に、攻撃を受け止めたのは…女の連れ合いである男だった。

完全ではなかったとはいえ、トンファーを肩で受け止めた男の体が、宙に浮かんだ。

「あんた!」

そして、そのまま地面に転がった男に駆け寄る女。

状況が掴めないアルテミアは一旦、攻撃を中止した。


「お、男は…女を守るもの」

ふらつきながらも、男はすぐに立ち上がった。

「男は…女に子供をつくらすもの」

「う!」

アルテミアは顔をしかめ、一歩後ろに下がった。

ふらふらになりながらも、ある一部分だけが元気だったからだ。

「ア、アルテミア!」

アルテミアの気持ちもわかるが、ここで怯んでいる場合でもなかった。

僕は…男の後ろで腹が裂けて絶命している大勢の人間の女性に気付いたからだ。

「あんた!あたし達の子供で、あいつを!」

女は慌てて、男の股のものに手を添えた。

「さ、させるかあ!」

アルテミアの背中から、白い翼が生えると上空に飛び上がり、トンファーを合体させ、槍に変えた。

この島には、もう…普通の人間は生きていなかった。

「A Blow Of Goddess!」

女神の一撃を放つアルテミア。

「は、早く!」

なぜか…上手く入らずにもたついている女の背中に、アルテミアが放った光の塊が近づいてきた。

「綺麗だ」

男は、連れ合いである女てはなく…上空のアルテミアを見つめていた。

「え」

驚く女の目に、愛しそうにアルテミアを見上げる男の顔が映った。

「そんな顔を…あたしには」

「くらえ!」

女神の一撃は、文字通り一撃で島自体を破壊した。
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