天空のエトランゼ〜赤の王編〜
一瞬で消滅したライもどきよりも、今の攻防で気付いた違和感に、僕は動きを止めて考え込んだ。

「赤星!」

アルテミアの注意の声に、僕がはっとした時には、後ろから横殴りの凄まじい力をくらい、地表に向けて落下していた。

「ライが…2人」

落下しながらも、僕は空中に現れた新たな2人のライに顔をしかめた。

先程のように、雷空牙を撃ってくることはなかった。僕は海面ではなく、近くの無人島に着地した。

「クッ!」

撃って来なかった意味を、僕は無人島に着地した瞬間、悟った。

「誘われたな」

アルテミアの声に、僕は頷いた。

「ああ…」

島には、無数の魔神が待ち構えていた。

それも、普通の魔神ではない。

騎士団長の群だ。

「ギラ…サラ…リンネ。カイオウ!」

そして、空中にいる4人のライ。

「偽者といっても…この数は、きついな」

アルテミアは、フッと笑った。

ざっと百人はいる。

「変わろうか?」

アルテミアの言葉に、僕は首を横に振った。

「大丈夫…。僕の予想通りなら…何とかなる」

僕は足元を確認すると、シャイニングソードを構えた。

「予想?」

アルテミアの声に、

「あとで言うよ。いや、すぐに…わかるかもしれない」

僕は、シャイニングソードを前に突きだした。

「今は、こいつらを…蹴散らす!」

僕の瞳が、赤く輝いた。

それを見た…ギラとサラもどき達が腕を突きだした。

一斉に放たれた凄まじい雷撃を、僕はシャイニングソードを振るうことで斬り裂き…次の瞬間、ギラとサラの側に移動すると数体を斬り裂いた。

群れの中に突入した僕を見て、リンネもどきが顔をしかめた。

「フン」

僕は鼻を鳴らすと、周囲を睨み、ゆっくりと言葉を発した。

「太陽がほしいか?」

僕の魔力が、上がった。


「あ、赤星!?」

アルテミアは、絶句した。

僕の魔力が、アルテミアの予想を遥かにこえていたからだ。

それでも、全力ではない。

「いくぞ」

不敵な笑みを浮かべた僕の唇の端から、牙が覗かれた。

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