天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「どうして…」

乙女ブラックに戻ったことに、唖然としてしまう九鬼。

しかし、そんな暇はなかった。

真後ろに出現したアマテラスの回し蹴りが、九鬼の脇腹にヒットしたからだ。

「な!」

地面に転がる九鬼。

その様子を見下ろしながら、アマテラスはクククと笑った。

「色が変わっただけではないな!忌々しい月の力も、使えぬようだな」

「ク!」

すぐに立ち上がった九鬼は、ムーンエナジーを拳に練ろうとしたが、光が発生しなかった。

「どうして!」

乙女ブラックになったからと言って、ムーンエナジーが使えないことはない。

九鬼は空を見上げたが、月は出ていた。

「ハハハハ!」

アマテラス達は高笑いをし、再び九鬼を囲んだ。

「所詮!闇が、光を纏うことは不可能なのだよ」

笑いながら、一斉に九鬼に襲いかかる。

ムーンエナジーを纏っていない為、アマテラスに触れることができない。

九鬼は、攻撃をいなすことができない。

仕方がなく、光速で避けるが…数が増していくアマテラスの攻撃に、避けるスペースがなくなっていく。

空に逃げようとしたが、空中にもアマテラスがいた。

「馬鹿目!」

数十人のアマテラスが空中で足を上げ、九鬼に向けて落とした。

背中にかかと落としを喰らった九鬼が、地面に落ちると、再びアマテラス達に囲まれた。

「終わりだ!」

アマテラス達は、笑った。

そして、1人のアマテラスが月を見上げ、

「終わりだよ!月の女神!貴様の力も、やつを助けることはできない!」

タコ殴りにあっている九鬼を視線を移すと、他のアマテラスに言った。

「殺せ!しかし、体の形は、残しておけ!」

ゆっくりと、アマテラスの群れに近づいていく。

「その体は…我の新しい肉体になる!同じ闇の属性!これ以上の媒介はない!」

「き、貴様!」

一斉に蹴られて、囲いの中から飛び出してきた九鬼を、アマテラスは踏みつけた。

「くだらない人間の女を、媒介にするよりも!デスパラードの入れ物の方がよいわ!」
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