天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「てめえの言うことは、おかしい!気持ち悪い!」

アルテミアは、女を指差し、

「だから!もう一回死にやがれ!」

一歩前に出た。

「やれやれ〜下品な女」

女は思い切り、顔をしかめた。

「裸の女に言われたくないぜ!」

アルテミアの握り締めた拳が、怒りで震えていた。

「だけど…」

女はため息をついた。

「?」

女の雰囲気の変化に、アルテミアが眉を寄せた時…突然、真後ろに誰が飛び込んで来た。

「そんなあんたが、好きなんだって〜」

女は肩をすくめた。

「アルテミア!」

僕の声にはっとしたアルテミアが、振り向くよりも速く、真後ろを取った者は、アルテミアの両手を掴んだ。

「き、貴様!」

信じられない力で、アルテミアを押さえつけたのは、人間もどきの男だった。

「は、離せ!」

もがくアルテミアを押さえつけながら、男は耳許に口を近付け、

「お、おらの…こ、子供さ…産んでくれ」

顔を真っ赤にして、照れながら言う男に、アルテミアは一瞬だけ唖然としたが、腰に当たる固いものに気付き、すぐに怒りで真っ赤になり、

「モード・チェンジ!なめるな!」

姿を変えた。

短髪のストロングモードになったアルテミアは、強引に男の腕を振り払うと、振り向き様に蹴りを払った。

「欲情すんじゃないぜ!」
ボディに蹴りを喰らい、くの字に体を曲げた男の顔に、間髪を入れずにアルテミアの飛び膝蹴りが炸裂した。

今度は、後ろに体をそらし鼻血を流しながら、

「素敵だがや」

もはやどこの方言かわからない言葉を発し、背中から地面に倒れた。

「き、き、気色悪い!」

再び吐きそうになるアルテミアの後ろで、女は腕を組み、

「折角〜好きだと言ってくれている男を邪険にして〜」

肩をすくめた。

「は〜?」

アルテミアは振り返りながら、女を睨んだ。

「あんた〜。性格悪いから、好きになってくれる男なんていないでしょ?顔だって、あたしの方が綺麗だし」

妙に自信満々の女に、アルテミアはキレた。

(アルテミアの方が、断然綺麗だけど…)

僕は、女を見た。
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