天空のエトランゼ〜赤の王編〜
踏みつけているアマテラスとは、別のアマテラスがしゃがみこむと、九鬼の髪の毛を掴み、顔を上げさせた。

「貴様の肉体を使い!我は復活する!魔王ライ様の側近としてな!」

「魔王…ライ…」

九鬼は、髪の毛を掴むアマテラスを見た。

「2人の女神が亡き後、魔王の片腕になるべき存在はいないはず!」

アマテラスは、屋上に目を向けた。

「忌々しい裏切り者も、今度は確実に殺してやる」

屋上で佇み、戦いを見つめていたアルテミアは、鼻を鳴らした。

「できるか?貴様ごときに」



「貴様の肉体を貰うぞ」

アマテラスが、九鬼の首筋に手を入れると、踏みつけていたアマテラスが足をどけ、そいつも後ろから首を掴んだ。

「偉大なる女神の復活の為に!ハハハハ!」

歓喜の笑い声を上げるアマテラスを、持ち上げられ首を絞められている九鬼が鼻で笑った。

「フッ」


「何がおかしい!」

九鬼の笑いに気付いたアマテラスが、怒声を上げた。

「フッ」

九鬼はさらに笑うと、言葉を続けた。

「人を虫けらと言いながら、その虫けらの肉体にすがるとはな」

「だ、黙れ!」

アマテラスはさらに、首を絞め上げた。

首の骨が軋み音がした。

だけど、九鬼は笑いを止めない。

「フッ…。真の虫けらは、お前だよ」

「き、貴様!」

アマテラスは首を掴んだまま、地面に九鬼を叩きつけた。

「我が、虫けらだと!ライ様の側近である我が!」

砂埃が上がり、地面にくい込む程の衝撃を受けながらも、九鬼は真っ直ぐにアマテラスを見上げ、

「言い間違えた」

笑みをつくると、

「虫けら以下だ」


「貴様!」

数人のアマテラスが現れ、九鬼を踏みつけた。

「ぐわっ!」

九鬼は血を吐いた。

「我を虫けら以下だと!」

足に力を込めるアマテラス達。

九鬼はそれでも、アマテラスを笑った。

「その通りだ…。貴様はな」
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