天空のエトランゼ〜赤の王編〜
黒いスーツ姿のフラッシュモードになると、振り向き様のドロップキックを男の腹に叩き込み…そのまま、地上へと落下していった。

「ぐぎゃあ!」

凄まじい音と砂煙を上げながら、地上にくの字の形で突き刺さった男を、アルテミアは踏みつける形で立っていた。

「なめやがって」

アルテミアは、かかとを男の腹に食い込ませながら、見下ろし、

「これ以上好きにさせるか!」

その後…世にも恐ろしいことをやってのけたのだ。

「!」

本当に痛い時は、声も出ないのだろう。男はあまりの痛みに、即座に気絶した。

アルテミアが、男の大事なところを踏み潰したのだ。

股間から血が流し、泡を吹いて気を失った男から、アルテミアは離れ、ゆっくりと振り向いた。

「これで…新しい子供を産めないな」

口元に笑みを浮かべるアルテミアを、苦々しく見つめるのは地上まで落下した女だった。

「く!」

アルテミアに蹴られた脇腹を押さえながら、女は一瞬だけ顔をしかめた後、笑って見せた。

「あははは!いいのよ!その男の子供はもう、つくる気がなかったから!」

女はよろめきながら、歩きだした。そして、アルテミアに手を伸ばし、

「あたしが産みたいのは、あなたの子だけよ。赤星様」

アルテミアがつけているピアスに微笑んだ。

「あたしとあなたで、新しい人類を造りましょう。こんな野蛮で、化け物の女の呪縛から逃れて…あなたとあたしで、新しい人間を」

手を伸ばしながら、涙を流す女に、アルテミアは目を細めるだけで、攻撃はしなかった。

「新しい人間を…」

震える手が、ピアスに延びようとした時、

「ごめん…」

アルテミアから、僕に変わった。

僕は女に微笑みかけると、一歩下がった。

「あ、あ…。どうして?」

涙が流し、手を伸ばそうとする女を見て、僕が手を出そうとした時、

「赤星」

アルテミアは無理矢理、体を変えた。

「赤星様!?」

目の前の人物が再び、アルテミアに変わった為に驚き、目を見開いた女が、さらに目玉が飛び出す程に眼孔を開かせた。

「こいつは…あたしが殺る」
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