天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「げ、外道があ!」

九鬼は、アマテラスを下から睨み付けた。

「外道?違うな」

アマテラスは、さらに踏みつけながら、

「それこそ、闇だ!人間という闇だ!」

両手を広げ、

「その闇が、我を復活させた!」

「生きる為に、他人の肉体を奪い!」

「拒絶反応が出る為に、移植はできない!だから、腐れば…新しいものに変えた!」

「顔だけは、自分を保つ為に!奪う度に、整形した」

「自分が、殺した母親の顔にな!」


「違う!」

九鬼は否定した。

「殺したのは、お前だ!」

九鬼の言葉を、アマテラスは鼻で笑い、否定した。

「最初はな!しかし、今日までは、やつの意志だ!」

「き、貴様!」

九鬼は何とか立ち上がろうと、全身に力を込めた。

「無駄だ」

その瞬間、戦闘服の一部が砕けた。

「ぐわっ」

生身で喰らったアマテラスの踏みつける力に、内臓が破裂した。

「ククク」

アマテラスは嬉しそうに笑い、

「次で終わりだ!」

再び足を上げた。



その時、突然…夜が明けた。


「何!?」

眩しい日射しが、アマテラスの背中を照らした。

「何が起こっている?」

「夜が明けるには、早すぎるぞ!」

「そ、それに…この光は!」

学園の向こう…町並みの先、さらに向こうから、日が昇ってくる。

「そ、そんな馬鹿な!」

振り向き、光を直視したアマテラス達が、消滅していく。

「こ、この光は!」

太陽に背を向け続けているアマテラスだけが、残っていた。

しかし、九鬼を踏みつける足が震え、背中が燃えていた。

「ま、まさか…まさか…この光は!」

アマテラスは、九鬼から足を離すと、よろけながら、後ろに下がった。

「あ、あああ!」

声にならない声を上げながら、上がっていく太陽に近づいていく。
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