天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「カードシステムが復活するだと!?お前がやったのか!」

「違う。あたしじゃない」

アルテミアは、自然と微笑んでいた。

「!?」

アルテミアの笑みに、リンネは目を細めた。

「あいつさ…。ジャスティン・ゲイ」

「ジャスティン・ゲイ」

「あいつの信用できる仲間達が、復活させたのさ。まだ世間に知らせてないけどな」

アルテミアは、にやっと笑った。

ジャスティン・ゲイは結界をつくる遺跡を調べながら、新たなるカードシステムの復活を考えていたのだ。その時に同行していた学者達に、システムの再構築を任せていた。

新たなるカードの効力は、治癒魔法をメインにして、緊急時の避難所へのテレポートや衣服などの生活必需品を召喚することを基本にしていた。

勿論、武器も召喚できたが、攻撃的魔法を使うには許可が必要としていた。その許可を出すのは、人間ではなく、パートナーである妖精や精霊に託した。

アメリカのような国家が、ポイントを集中して持つことも禁じた。

「愚かな!人間が調子に乗るだけよ!」

リンネの言葉に、

「かもな」

アルテミアは頷き、

「だからさ。まだ教えてない」

舌を出した。

「き、貴様!」

馬鹿にされていると感じたリンネの体温が上がる。

周囲の温度が、サウナのように熱くなった。

「リンネ」

アルテミアは、汗ばんでいく体を気にすることなく、リンネを凝視した。

その間にも、温度は上がっていく。

「お前は、あたしよりも人間に惹かれているはずだ。それなのに、どうして…人間を滅ぼそうとするライの言うことをきく?」

「愚問だわ」

アルテミアの問いに、リンネの炎は安定感を取り戻した。

なせが、寂しげに笑うと、

「あたしは、魔王につくられた炎の魔神。他の誰よりも、自由にさせて貰ってあるけど…。王が決めたことに、逆らう気はないわ。人間を滅ぼせと仰るならば、滅ぼすだけよ」

「て、てめえ〜。自分の意思がないのか!」

軽くキレたアルテミアを、リンネは指差し、

「裏切り者には言われたくないわ」

炎から、人間のような肉体に戻った。

但し、魔力は増していた。
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