天空のエトランゼ〜赤の王編〜
扉のノブに手をかけた九鬼は、動きを止めた。
「この学園のすべてを、黒谷家が握っている訳ではありません。学園内に、不穏な動きも報告されています」
理事長は、机の腕で両肘をおき、
「もしかしたら…ムジカよりも、恐ろしい者が…」
「天空の女神…」
九鬼は呟くように言った。
その名に、理事長は無言で頷いた。
「わかっています」
ノブを握り締めると、扉を開けた九鬼の背中に、理事長は言った。
「天空の女神は、半分は…人類の味方でしょう。しかし…もう半分は、魔王ライの血が流れているのです」
九鬼は振り返り、
「魔王ライとは、何ですか?」
「神です」
理事長は即答した。
「但し…人類の味方ではない神です」
「神…」
九鬼はその言葉を噛み締めた後、部屋から飛び出そうとして、半身を廊下に晒しながら、振り向いた。
「最後に、おききしたい」
「何ですか?」
「今日。転校してきた生徒は一体?」
九鬼の脳裏に、太陽のように輝く浩也の姿がよみがえる。
「転校生は、2人います」
理事長は首を捻り、
「確か…1人は、元安定者のジャスティン・ゲイからの紹介のはずです」
「ジャスティン・ゲイ…」
九鬼は思い出した。
カレンが、自分に向けて言った言葉を…。
(あたしに戦い方が、似ているといった男の名前…)
九鬼は理事長室を後にすると、廊下を早足で歩き出した。
(カレンにきいてみよう)
浩也は、カレンを叔母と言っていたし…。
廊下を急ぐ九鬼の後ろ姿を、理事長室のさらに奥の廊下の影から見送っている生徒がいた。
「九鬼真弓…」
それは、阿藤美亜だった。
「この学園のすべてを、黒谷家が握っている訳ではありません。学園内に、不穏な動きも報告されています」
理事長は、机の腕で両肘をおき、
「もしかしたら…ムジカよりも、恐ろしい者が…」
「天空の女神…」
九鬼は呟くように言った。
その名に、理事長は無言で頷いた。
「わかっています」
ノブを握り締めると、扉を開けた九鬼の背中に、理事長は言った。
「天空の女神は、半分は…人類の味方でしょう。しかし…もう半分は、魔王ライの血が流れているのです」
九鬼は振り返り、
「魔王ライとは、何ですか?」
「神です」
理事長は即答した。
「但し…人類の味方ではない神です」
「神…」
九鬼はその言葉を噛み締めた後、部屋から飛び出そうとして、半身を廊下に晒しながら、振り向いた。
「最後に、おききしたい」
「何ですか?」
「今日。転校してきた生徒は一体?」
九鬼の脳裏に、太陽のように輝く浩也の姿がよみがえる。
「転校生は、2人います」
理事長は首を捻り、
「確か…1人は、元安定者のジャスティン・ゲイからの紹介のはずです」
「ジャスティン・ゲイ…」
九鬼は思い出した。
カレンが、自分に向けて言った言葉を…。
(あたしに戦い方が、似ているといった男の名前…)
九鬼は理事長室を後にすると、廊下を早足で歩き出した。
(カレンにきいてみよう)
浩也は、カレンを叔母と言っていたし…。
廊下を急ぐ九鬼の後ろ姿を、理事長室のさらに奥の廊下の影から見送っている生徒がいた。
「九鬼真弓…」
それは、阿藤美亜だった。