天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「遅い!」
放送室をジャックした後、真っ直ぐに中庭にある噴水に向かった中西は、腕を組んで九鬼を待っていた。
放送を聴いた生徒達が、左右の校舎の窓から顔を出し、その様子を伺っていた。
野次馬根性であるが、彼らが期待するのは…中西がフラれる瞬間であった。
完全無欠の生徒会長にフラれるところを見て、笑いたいのだ。
巨人によって側面を破壊されたのは、中西の左側の校舎だった。
九鬼はため息をつくと、校舎を回り、公衆の目にさらされた舞台に飛び込んだ。
九鬼が姿を見せた瞬間、生徒達から歓声が上がったが、それはすぐにかき消された。
「黙れ!」
中西の怒声が、校舎の谷間に響いた。
「俺は、スターだから…見られるのは仕方がない!しかしな!」
中西は、左右の校舎を見上げ、睨み付けてから、
「ラブシーンは、静かに見るものだ!」
九鬼に目をやった。
「美しい…」
感嘆のため息をつく中西に、思わず九鬼は足を止め、顔をしかめた。
長い黒髪に、化粧気がないのに、目鼻立ちがくっきりしている為、華やかに見える顔。
確かに、九鬼は美人であった。
「う」
だけど、近寄り難い雰囲気を持つ九鬼は、面と向かって美しいと言われたことはない。
敵からは、悪魔と呼ばれたことはあるが…。
闇夜の刃…乙女ブラックに、美しいという言葉は無縁のものであった。
その為、中西に言われた美しいが…九鬼の調子を狂わせてしまった。
「本当に美しい!」
後ずさる九鬼と違い、前に出る中西。
その様子は、一刀両断にフラれると予想していた観衆の想像と違ったものだった。
「美しい!お前は〜美しい!」
どんな敵からも逃げずに戦うことが、信条である九鬼が後ずさっていたのだ。
「お前は、本当に美しい!」
中西の美しい攻撃に、九鬼は後ずさりながら、冷や汗も流していた。
いつのまにか、中庭を出て…グラウンドの近くまで、九鬼は後ずさっていた。
放送室をジャックした後、真っ直ぐに中庭にある噴水に向かった中西は、腕を組んで九鬼を待っていた。
放送を聴いた生徒達が、左右の校舎の窓から顔を出し、その様子を伺っていた。
野次馬根性であるが、彼らが期待するのは…中西がフラれる瞬間であった。
完全無欠の生徒会長にフラれるところを見て、笑いたいのだ。
巨人によって側面を破壊されたのは、中西の左側の校舎だった。
九鬼はため息をつくと、校舎を回り、公衆の目にさらされた舞台に飛び込んだ。
九鬼が姿を見せた瞬間、生徒達から歓声が上がったが、それはすぐにかき消された。
「黙れ!」
中西の怒声が、校舎の谷間に響いた。
「俺は、スターだから…見られるのは仕方がない!しかしな!」
中西は、左右の校舎を見上げ、睨み付けてから、
「ラブシーンは、静かに見るものだ!」
九鬼に目をやった。
「美しい…」
感嘆のため息をつく中西に、思わず九鬼は足を止め、顔をしかめた。
長い黒髪に、化粧気がないのに、目鼻立ちがくっきりしている為、華やかに見える顔。
確かに、九鬼は美人であった。
「う」
だけど、近寄り難い雰囲気を持つ九鬼は、面と向かって美しいと言われたことはない。
敵からは、悪魔と呼ばれたことはあるが…。
闇夜の刃…乙女ブラックに、美しいという言葉は無縁のものであった。
その為、中西に言われた美しいが…九鬼の調子を狂わせてしまった。
「本当に美しい!」
後ずさる九鬼と違い、前に出る中西。
その様子は、一刀両断にフラれると予想していた観衆の想像と違ったものだった。
「美しい!お前は〜美しい!」
どんな敵からも逃げずに戦うことが、信条である九鬼が後ずさっていたのだ。
「お前は、本当に美しい!」
中西の美しい攻撃に、九鬼は後ずさりながら、冷や汗も流していた。
いつのまにか、中庭を出て…グラウンドの近くまで、九鬼は後ずさっていた。