天空のエトランゼ〜赤の王編〜
魔物が、人を殺すのはある意味、自然の摂理である。

人間よりも優れた力と能力を持つ魔物が、自分達より食物連鎖の下にいる人間を殺すのは、自然の原理である。

確かに、ウサギがライオンに襲われたならば…逃げたり、捕まっても最初だけ抵抗する。しかし、すぐに覚悟して、すぐに諦めるだろう。

しかし、人間は諦めない。

自分達の弱さをカバーする為に、武器や魔法をあやつり、時には自ら進んで魔物に戦いを挑んでくる。

そんな動物はいない。

そして、時には無差別に他の動物を殺し、全滅させる。

魔物はそんな事をしない。

数多く殺しても、種を絶滅はさせない。

ある学者は、それが…人間が生き残っている理由だとした。

だから、人々はライに恐怖した。

ライは、人間のように…人間を滅ぼそうとしているからだ。

その行為は、人間だけでなく…魔物も、ライを畏怖するようになった。


そして、今のリンネは…そんなライに似ていたのだ。

しかし、ユウリとアイリは知らない。

リンネの心の中を。


リンネは、ライとは違う。

ライは、人間から生まれた。

リンネは、ライに創られたのだ。

そして、単に…人の力に興味がなかったのだ。


知りたいのは…。


リンネの脳裏に、浮かぶ映像の理由。

赤星を守る為に、身を挺するフレア。

その行為の理由を知りたい。

いや、答えならば知っている。

愛だ。


ならば、愛とは何だ。

人間がたまに見せる…自己犠牲。

フレアは魔物である。

それなのに…死んでもなお…赤星を守る。

そんなことをさせる愛とは、何なのだ。

リンネとフレアはもともと、同じ魔物である。

力に差はあるが…半身が掴んだ愛とは…。

リンネには、理解できなかった。

そのことに悩み続けることで、リンネは変わった。

しかし、本人は…そのことに気付いていない。

なぜならば、まだ…迷いの中にいるからだ。



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