天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「高坂先輩…ごめんなさい」
九鬼は、西校舎裏にいくことを後回しにして、理事長室に向かった。
渡り廊下から、南館に飛び込んだ九鬼は、乙女グレーとの戦いの傷痕がまだ残る廊下を疾走した。
「誰が、やった?」
明らかに尋常でない数の乙女グレーを倒したことが、わかった。
しかし、それを勘繰っている暇はない。
九鬼は、一番奥の理事長の扉に手をかけた。
鍵はかかっていない。
中に飛び込んだ九鬼は、焦げ付いた匂いに顔をしかめた。
扉の横に設置されている応接セットのソファが溶けていた。
「理事長!」
そして、一番奥の机にうつ伏せになって、倒れている黒谷を発見した。
机の前の床も、溶けていた。
まだ熱が残る床をさける為、九鬼は扉から壁にジャンプすると、壁を蹴り…天井のシャンデリアを掴むと、黒谷が倒れている机に着地した。
机には、熱がなかった。
どうやら、理事長内に炎を放ったのではなく、炎を纏った者同士で戦った痕であることを、九鬼は悟った。
「理事長!」
うつ伏せに倒れている黒谷を抱き起こすと、もう彼女に意識はなかった。
火傷はおっていない。
殆ど外傷はない。
ただ…こめかみの辺りに、穴があいているのが確認できた。
「理事長!」
今の黒谷は、脳死に近かった。
ムジカにより、脳に何を撃ち込まれ…精神を乗っ取られた黒谷は…操り人形と化した。
その状態でアルテミアと対し、一撃で意識を奪われてしまった。
その瞬間、脳と肉体をつなぐ意識という線が切断されたことになった。
ムジカの操り人形になった者に、意識を取り戻そうとする処置を施した場合、撃ち込んだものが…脳を破壊するようにできていた。
意識が飛んだ場合も、それに当たった。
脳が死んだ者は、しばらくは心臓が動いているが…やがて、止まる。
九鬼は、西校舎裏にいくことを後回しにして、理事長室に向かった。
渡り廊下から、南館に飛び込んだ九鬼は、乙女グレーとの戦いの傷痕がまだ残る廊下を疾走した。
「誰が、やった?」
明らかに尋常でない数の乙女グレーを倒したことが、わかった。
しかし、それを勘繰っている暇はない。
九鬼は、一番奥の理事長の扉に手をかけた。
鍵はかかっていない。
中に飛び込んだ九鬼は、焦げ付いた匂いに顔をしかめた。
扉の横に設置されている応接セットのソファが溶けていた。
「理事長!」
そして、一番奥の机にうつ伏せになって、倒れている黒谷を発見した。
机の前の床も、溶けていた。
まだ熱が残る床をさける為、九鬼は扉から壁にジャンプすると、壁を蹴り…天井のシャンデリアを掴むと、黒谷が倒れている机に着地した。
机には、熱がなかった。
どうやら、理事長内に炎を放ったのではなく、炎を纏った者同士で戦った痕であることを、九鬼は悟った。
「理事長!」
うつ伏せに倒れている黒谷を抱き起こすと、もう彼女に意識はなかった。
火傷はおっていない。
殆ど外傷はない。
ただ…こめかみの辺りに、穴があいているのが確認できた。
「理事長!」
今の黒谷は、脳死に近かった。
ムジカにより、脳に何を撃ち込まれ…精神を乗っ取られた黒谷は…操り人形と化した。
その状態でアルテミアと対し、一撃で意識を奪われてしまった。
その瞬間、脳と肉体をつなぐ意識という線が切断されたことになった。
ムジカの操り人形になった者に、意識を取り戻そうとする処置を施した場合、撃ち込んだものが…脳を破壊するようにできていた。
意識が飛んだ場合も、それに当たった。
脳が死んだ者は、しばらくは心臓が動いているが…やがて、止まる。