天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「断る!」

九鬼は即答した。ふらつきながらも立ち上がり、中西を睨む。

「助け合う手ならば、その手を握ろう!力なき者を救う為の手ならば、あたしはその手を借りよう!しかし、お前の手は違う!」

「何が違う?」

中西は鼻で笑った。

「今、力なきお前に手を差し伸べているではないか」

「違う!力なきと、力弱きは違う。確かに、今のあたしはお前に敵わない!お前より、弱いかもしれない。だけどな!」

九鬼は、かけていた眼鏡を外した。

変身が解ける。

「あたしは、力なき者ではない!お前より力弱き者でも、あたしは戦える術を!この手に、この腕に宿している!」

九鬼は背筋を伸ばすと、中西に向かって構えた。

「正気か?」

中西は、生身の九鬼を見た。

「乙女ブラックでもない!あたしの名は、九鬼真弓!」

「馬鹿な…女だ」

中西は両手を広げ、

「殺しはしない。ただ…現実を教えてやる」

「来い!」

「言われなくてもな!」

前方に構える九鬼の真後ろに、中西が現れた。

半転し、バック&ブローを九鬼の首筋に叩き込もうとした。

その瞬間、九鬼はしゃがんだ。

「何!?」

バック&ブローを交わすと同時に、地面に両手を付き、指先を支点にして回転した。

九鬼の足が、中西の足を払う。

「な!」

後ろにバランスを崩す中西。

九鬼は素早く立ち上がると、中西の肩を掴み…投げ技に入った。

「は!」

乙女ブラックの体が宙に浮き、頭から回転すると、背中から地面に叩きつけた。

「舐めるな!」

中西はすぐに、立ち上がった。

「足りない力は、大地から借りる!」

地面に踏ん張り、足首から回転を加え、拳の先に集約する。

「は!」

気合いを込め、拳を前に突きだした。

中西の鳩尾に、炸裂した。

乙女ブラックの体が、後ろに下がった。

「なるほどな…」

中西は、にやりと笑った。

「確かに…お前は」

そして、平然と前に出た。

「弱く…力なき者だ!ハハハハ!」

天を見上げ、大笑いした。
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