天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「服部!」
反応が消えた場所に来た高坂は、辺りを見回した。
「部長!」
少し遅れて緑も到着した。
つい最近までは、防衛軍の再興を目指した哲也の部下で溢れていた校舎には、殆んど人がいなかった。
哲也達に危険視されていた高坂達が、特別校舎に入るのは初めてだった。
規律の厳しさが、校舎の廊下からわかった。
新品のように輝いており、今は使われている教室にも乱れはない。
「服部!」
高坂の声だけが、廊下に響いていた。
常に鍵がかかっており、パスワードを打ち込まないと開かなかった入り口も、今は誰でも入れた。
それなのに、中に入る生徒達は少なかった。
その理由とは…。
「輝は、どこ?」
先に向かっていたはずの輝がいない。
服部の反応が消えたのは、一階の廊下である。
そこには、高坂と緑しかいない。
「輝!」
緑が叫ぶと、廊下の窓ガラスを叩く音が、真横からした。
振り向くと、窓ガラスの向こうに手の甲が見えた。
「?」
慌てて窓ガラスに近づき、窓を開けて下を覗くと、膝を抱え…震えている輝の姿があった。
「輝!何やってんだ!早く中へ入れよ!」
緑が怒っても、ぶるぶると震え出す輝は、動かない。
「輝!」
ただ口癖のように、こう呟いていた。
「ここ…ダメ…恐い」
片言のような口調になっている時は、トランス状態であり…野生化していることを示していた。
本来ならば、野生動物のように俊敏で、逞しくなるはずなのに…野生動物でも、野うさぎのようだった。
「輝?」
緑は、輝の怯え方に尋常じゃないものを感じて首を傾げた。
「緑!」
廊下の奥へ進もうとしていた高坂が、足を止めた。
「輝は…使いものにならない」
そう言うと、高坂は前方を睨んだ。
「え」
高坂の方を見た緑は、絶句した。
半透明の服部が、両手を広げ…通せんぼをしていた。
そして、廊下の奥にある…二階へ上がる階段を、誰かが降りてくる音が、廊下に反響していた。
反応が消えた場所に来た高坂は、辺りを見回した。
「部長!」
少し遅れて緑も到着した。
つい最近までは、防衛軍の再興を目指した哲也の部下で溢れていた校舎には、殆んど人がいなかった。
哲也達に危険視されていた高坂達が、特別校舎に入るのは初めてだった。
規律の厳しさが、校舎の廊下からわかった。
新品のように輝いており、今は使われている教室にも乱れはない。
「服部!」
高坂の声だけが、廊下に響いていた。
常に鍵がかかっており、パスワードを打ち込まないと開かなかった入り口も、今は誰でも入れた。
それなのに、中に入る生徒達は少なかった。
その理由とは…。
「輝は、どこ?」
先に向かっていたはずの輝がいない。
服部の反応が消えたのは、一階の廊下である。
そこには、高坂と緑しかいない。
「輝!」
緑が叫ぶと、廊下の窓ガラスを叩く音が、真横からした。
振り向くと、窓ガラスの向こうに手の甲が見えた。
「?」
慌てて窓ガラスに近づき、窓を開けて下を覗くと、膝を抱え…震えている輝の姿があった。
「輝!何やってんだ!早く中へ入れよ!」
緑が怒っても、ぶるぶると震え出す輝は、動かない。
「輝!」
ただ口癖のように、こう呟いていた。
「ここ…ダメ…恐い」
片言のような口調になっている時は、トランス状態であり…野生化していることを示していた。
本来ならば、野生動物のように俊敏で、逞しくなるはずなのに…野生動物でも、野うさぎのようだった。
「輝?」
緑は、輝の怯え方に尋常じゃないものを感じて首を傾げた。
「緑!」
廊下の奥へ進もうとしていた高坂が、足を止めた。
「輝は…使いものにならない」
そう言うと、高坂は前方を睨んだ。
「え」
高坂の方を見た緑は、絶句した。
半透明の服部が、両手を広げ…通せんぼをしていた。
そして、廊下の奥にある…二階へ上がる階段を、誰かが降りてくる音が、廊下に反響していた。