天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「部長!」

緑は高坂の腕を払うと、前に飛び出した。

カルマの蹴りを、木刀で受け止めた。

「馬鹿目!」

しかし、木刀にヒビが入り、砕け散った。

「緑!」

高坂は振り向き、後ろに構えた。

変身を終えたリオ達が迫る。

「部長!封印を解きます!」

木刀は砕けたのに、折れてはいない。

「こいつらが、霊体ならば!遠慮することもないでしょ」

「了解した!やれえ!」

「はい!」

高坂の声に、頷いた緑は力で、カルマの足を押し返した。

「何!?」

蹴りの体勢から、バランスを崩したカルマの目の前に、完全に表面が砕け散った木刀…いや、日本刀が姿を現した。

「斬れ!空切り丸!」

緑の手にある日本刀が輝くと、メビウスの輪のような螺旋を描いた。

「く!」

ヤバイと思ったカルマがテレポートすると、その動きを詠んだ緑が横凪ぎに、刀を振るった。

しかし、そこにもカルマはいなかった。だけど、そばにいた乙女レッドになった梨絵の腕に、斬撃は絡み付いた。

次の瞬間、

「ぎゃあああ!」

絶叫した梨絵の腕が消えた。

「形なきものを斬る!それが、この刀の能力だ!」

対象を変更し、痛がる梨絵に、トドメをさそうと一歩前に出た緑の後ろに、カルマが現れた。

「死ね!」

「高坂アタック!」

腰を屈め、カルマの足を掴んで廊下に転がした。

不意討ちの為、床に頭を打ったカルマの馬乗りになると、高坂は眼鏡に手を伸ばした。

「確か…こいつを取れば…」

高坂がカルマの顔の眼鏡に、手をかける寸前、リオの回し蹴りが、高坂の脇腹にヒットした。

次の瞬間、カルマから離れ、廊下に踞る高坂。

「先輩!」

梨絵の頭の先から、顎までを真っ二つにした緑が、振り向いた。

眼鏡も割れ、変身が解けた梨絵が倒れるのを確認せずに、高坂のもとに向かおうとする緑の前に、リオが立ちはだかる。

「やるわね」

「どけ!」

再び空切り丸を振るう緑。

しかし、

「ダイヤモンドは、斬れないわ」

乙女ダイヤモンドとなっているリオの体を斬ることは、できなかった。
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