天空のエトランゼ〜赤の王編〜
ただ…真っ直ぐに受け止めた。

「何者だ…お前は?」

今度は、高坂の目が鋭くなる。

「それは、こっちの台詞だ。あらぬ言いがかりをかけやがって!俺が、人間ではない?証拠でもあるのか?」

「ない!」

高坂は即答した。

「な」

ないの力強さに、中西は思わず絶句した。

「だがな!お前が、乙女ブラックでもヒーローでもないことは確証している!」

高坂は中西を指差し、

「生徒達が、乙女ソルジャーに襲われている時!貴様は何もしなかった!生徒を助けることも!それだけではない!すべての生徒に、乙女ソルジャーが襲われている中!お前だけ!襲われては、いなかった」

「…」

中西の目が、細められていく。

「ただ…捕まった生徒会長を、下から眺めていただけだ!少なくても、お前はヒーローではあり得ない!」

「言いたいことは、それだけか?」

中西の目から鋭さが、消えた。その代わり…氷のような冷たい目になる。

生気を感じない。

「今のところはな」

「そうか…」

中西は一歩、前に出た。拳を握り締め、

「お前は、真弓と俺の障害になるな」

「だとしたら、どうする?」

「どうもしない…。ただ、書き換えるだけだ」

「書き換える?」

高坂の右足が、後ろに下がった。

「気にするな」

中西は笑い、

「このやり取りも、忘れる」

握り締めた拳を後ろに引いた。

「部長!」

中西の纏うオーラの雰囲気が変わったことを察知した緑が、駆け寄ろうとしたその時、事態は変わった。

高坂の左側…東校舎の向こうから、全速力で走る如月が姿を見せた。

「高坂!」

「うん?」

如月の声に、思わず中西は振り向いた。

「いいタイミングだ!」

と同時に、懐に隠していた小麦粉の袋を破り、中西の目に目掛けて投げた。

「化け物には、化け物よ」

如月の後ろを、猛スピードで追いかけるユウリとアイリも姿を見せた。
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